日本の住宅政策は、国のエネルギー安全保障が主題で決められている感が強いと思います。
本来は
「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」ためであるべきですが、そうなってはいない上、さらに顧客目線でない基準で多くの住宅が作られています。
住宅を取得する世帯主の年齢として最も多いのは30歳代と言われています。
新築住宅のうち6割程度が次世代省エネ基準を満たしているといわれていますが、これは既存住宅の約5パーセント程度というデータもあり、住替が頻繁でないと仮定すると、
「高齢者ほど築年数が古い無断熱住宅に住んでいる」という皮肉な組み合わせが浮かび上がってきます。
東京都健康長寿医療センター研究所が行った調査では1年間で全国でヒートショックに関連した
「入浴中急死」に至った高齢者は1万4000人と全体の8割を占めています。
また、2014年度厚生労働白書によると、
日常生活に制限のある期間(平均寿命-健康寿命)は
男性9.13年・女性12.68年であり、これは介護を必要とする不健康な期間であると考えられ、これをいかに短くするか、経済的観点からも高齢者本人及びその子供世帯の人生設計においても非常に重要である事は言うまでもありません。
日本の場合、寝たきりになった後の高齢者施設や要介護認定にばかり視点が行きがちですが、欧州では
「いかに寝たきりにしないか」に最大限の労力を注込み、問題の解決を試みています。
暖かい家に住むと病気になりにくくなることは、世界の常識となっております。
断熱リフォームが「CO2削減」「エネルギー安全保障への貢献」だけでなく、
「高齢者の介護必要年数の短縮化」「医療費、介護保険料の削減」を同時に成し遂げる事に目を向ける必要があります。
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