HOUSING COLUMN
軒ゼロ住宅・採用するなら周到なご準備を防水上の弱点になりやすい箇所と、失敗しないための対策基準
都心の狭小地を中心に、庇(軒)をほとんど出さない「軒ゼロ住宅」の採用が広がっています。しかし瑕疵保険会社の調査などから、軒ゼロ箇所は雨漏り事故の発生率が非常に高いことが分かってきました。見た目はスタイリッシュでも施工の難易度は高く、維持管理費もかかります。それでも採用するのであれば、周到な準備が不可欠です。
📐 設計の注意点
🗓️ 2017年7月公開
※本記事は2017年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
軒ゼロ住宅では、次のような箇所が防水上の弱点になりやすくなります。
- ①軒ゼロ住宅の屋根と外壁の取り合い部 軒の出が小さいと屋根端部と壁面端部が接近し、屋根端部の隙間から入った雨水が壁面の背面に回りやすくなります。
- ②壁面雨掛かり周辺の開口部 軒の出が小さいと雨掛かりの面積が広がるため、開口部まわりの施工不良から雨水が侵入しやすくなります。
- ③片流れ屋根の頂部、ケラバ部 片流れ屋根の頂部にある棟包みの水切り形状や、外壁との取り合い部の防水対策が不十分なケースが多く見られます。
- ④外壁に直接紫外線が当たる場所の維持管理増 軒ゼロ住宅の壁面は紫外線を受ける時間が長く、外壁材やシーリング材の早期劣化を招きやすくなります。長い軒(庇)は雨水対策だけでなく、紫外線を減らし塗装やシーリング材の耐用年数を伸ばす役割も果たします。
それでも採用する場合、まずは設計者や施工者がリスクをきちんと認識するべきです。設計ディテールや防水材料の選定に特段の配慮が必要となり、通常より建築コストと維持管理費が増大することを、建て主様へ正しくお伝えすることが必要です。その上で、自社の施工ルールを定めて徹底することがポイントです。
あまや製材では、軒ゼロ・軒の出が小さい部位に対して、次のような施工ルールを定めています。
- 軒の出等が150mm以下の場合、屋根ルーフィングで軒先を包み、外壁防水紙の上に重ねて不連続部をなくす
- 防雨効果のある通気金物を、適切な位置に設置する
- 片流れ屋根の頂部については、有効板の使用を禁止する
- 輸入サッシの使用には注意が必要
- その他、当社防水基準(別冊)を順守(当社防水基準は事務所にてご確認いただけます)