屋根雪処理の3方法自然落下・屋根置き・融雪装置と、屋根形状や近隣トラブルを防ぐ注意点
株式会社あまや製材で代表を務めております、一級建築士の竹田稔と申します。平成15年にUターン就職で地元に戻り設計を始めた際、当時の社長からよく言われたのが「雪をなめるな」という言葉でした。東京・京都での勤務経験しかなかった私には、正直ピンと来ませんでした。今回は、その教えの原点でもある「屋根雪処理の方法」について、福井の雪の特性から具体的な3つの選択肢まで、分かりやすくお話ししたいと思います。
※本記事は2020年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
建築基準法では、雪の重さは積雪量1cmあたり20N(約2kg)と設定されていますが、福井県ではその1.5倍にあたる30N(約3kg)に設定されています。積雪1m・屋根面積1㎡あたりで300kgにもなり、40坪程度の家(屋根面積約85㎡)で換算すると、実に25.5トンもの重さです。
北海道のような寒冷地とは異なり、福井県は比較的温暖な地域であるため、湿り気が多く雪が重いという特徴があります。さらに、積もった雪は上に積もる雪の重みで圧縮されるため、積雪が続くほど屋根の雪はぎゅっと固まり、いっそう重くなっていきます。
- 地震への影響:屋根雪で建物の重量が増した状態で地震力が加わると、地震力そのものが倍増するため危険です。雪が均等に積もるような屋根形状にしたり、耐震の壁量を増やしておく必要があります。
- 屋根の向きによる差:屋根の向きによって雪の解けるスピードが異なるため、設計時の配慮が必要です。
- 落雪の危険性:2階の屋根から落ちた雪は地面でカチカチに固まり、角スコップを突き刺しても刺さらないほどになります。除雪に重機を利用すると、思った以上に費用がかかる点にも注意が必要です。
こうした地域の雪の性質をあらかじめ知っておくことが、のちのトラブル防止に役立ちます。
屋根雪の処理の仕方は、大きく分けて次の3つの方法があります。
- 1. 自然落下する屋根にする
- 2. 屋根を雪置き場として利用する
- 3. 屋根融雪装置を使う
1. 自然落下する屋根
敷地が広く、雪を降ろしっぱなしにできる敷地であれば、自然落下屋根も選択肢に入ります。屋根勾配が急であればさっと落ちますが、雪が溜まってから落ちる緩やかな勾配だと、落下時にものすごい音がします。落ちた雪は固く除雪しづらいため、重機が入れるようにしておくと良いでしょう。落ちた雪が近隣トラブルにつながりやすいので、注意が必要です。
2. 屋根を雪置き場として利用する
個人的にお勧めしているのが、屋根を雪置き場として使う方法です。少しの雪であれば、日当たりの良い屋根の上で自然に解けますし、家の周りを排雪する回数も少なくなります。積雪が多くなると雪降ろしが必要となるため、特に軒先から2m程度は雪降ろしスペースを確保してください。屋根自体の強度も必要となるため、屋根垂木の高さや間隔にも注意が必要です。
3. 屋根融雪装置を使う
軒先だけでも屋根融雪装置を使えば、雪降ろしの手間を大きく軽減できます。ただし初期投資に加え、ランニングコスト・メンテナンスコストがかかるため、採用率は低いのが実情です。融雪時期のみ利用する「ホワイトプラン」契約がお得です。
- 屋根形状:シンプルな切妻屋根がお勧めです。谷があると積雪が集中し、荷重が偏ります。
- 地上の雪との連結:地上の雪と屋根の雪が連結すると、地上の雪の荷重が屋根に加算されるため危険です。すぐに切り離してください。
- バルコニー・掃き出し窓:屋根のないバルコニーや掃き出し窓の前に雪が積もり、窓に荷重がかかるような設計は避けた方が無難です。
- サンルーム:屋根部材(ポリカーボネート)の上に、屋根から落雪すると割れることがあるため注意してください。
- 折半カーポート:屋根の上に積もった雪は、こまめに雪降ろしをしてください。
- 土地選び:小さすぎる土地や旗竿敷地は、近隣トラブルを呼びやすいので注意しましょう。
雪降ろしや除雪の際には、近隣トラブルがつきものです。降ろした雪が道路をふさいでしまったり、お隣の塀を壊してしまったり……。春になれば雪は消えますが、日頃からご近所関係を大切にし、お互いに協力し合ってトラブルを回避したいものです。
あまや製材では、建築基準法の1.5倍にあたる福井県の積雪荷重基準を踏まえたうえで、雪止め金具(バータイプ)を標準装備し、軒先込め垂木によるハケラ折れ(積雪による軒先破損)防止施工を行っています。土地の形状や敷地条件に応じた最適な屋根計画を、一級建築士が直接ご提案いたします。