重い雪から屋根を守る積雪対策屋根の向き・形状ごとの積雪傾向と、ハケラ折れ・雪止め配置の注意点
水分を多く含んだ福井の雪は、見た目以上に重く、屋根への負担も大きくなります。雪による建物への影響を考え、屋根の形状や落雪対策をあらかじめ検討しておくことが大切です。今回は、豪雪地帯で屋根を守るための考え方と注意点をご紹介します。
※本記事は2025年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
福井県は比較的温暖な地域であるため、湿り気が多く重い雪が降ります。目安として、積雪1mで40坪の二階建ての屋根には約25.5トンの雪が積もり、多雪地の積雪の単位荷重は深さ1cmあたり30N/㎡(約3kg)以上を用いて設計します。屋根の雪は圧縮されたり雨を含んだりしてさらに重くなるため、地域の雪の性質を理解することが重要です。
南向き屋根
南向き屋根の積雪量は日射の影響で減少する一方、北向き屋根には南の約3倍の雪が残っていました。南向き屋根を大きく、北向き屋根を小さくした建物は、屋根への負担が少なくなります。屋根の雪下ろしを安全に行えるよう、緩い勾配屋根の提案も増えてきています。積雪の多い北側であっても、玄関前や掃き出し窓の上には雪が溜まりにくくなるよう、屋根の向きを検討したり土庇屋根を設けたりする工夫をしています。
東西向き屋根
東西向きの屋根の積雪は均等になりやすく、南向き屋根の約2倍の積雪量でした。東西でほぼ均等になることから、屋根形状も左右対称が良いと考えられます。東向きの片流れ屋根は積雪量が多くなるため、雪下ろしできるスペースを考えて屋根形状を決定することが大切です。
谷部は溜まりやすい
屋根の谷部は二方向からの雪が集まるため、積雪が多く溜まりやすい場所です。雨樋への荷重集中も懸念されるため、可能な限り避けるべきです。谷は、凸状の建物形状(水平投影)の屋根にできやすく、真四角でシンプルな屋根にはできません。外壁が入隅になる箇所がある家や、複合的な形状をした屋根で見られます。谷は地上から見えにくく、雨水だけでなくホコリや枯れ葉も溜まりやすい部分です。
平屋
平屋は屋根の高さが低いため、隣家の影響を受けやすくなります。冬の日射角度は約30度と低いため、特に南側隣家の影響を考慮する必要があります。
落雪屋根
雪を自然に滑り落とす「落雪屋根」は、屋根の上に雪を溜め込みにくい形状です。ただし、落雪した雪は硬くなりやすく、排雪処理が困難になることがあります。掃き出し窓の下部に雪囲いを行ったり、下屋部分には雪止めを設けたりするほか、軒先だけに融雪装置を設置して軒先だけを落雪させる工夫もあります。
風の強い分譲地
吹き下ろし風が強い分譲地では、南北の積雪量に差は少ないものの、東西の積雪量は減少する傾向があります。
ハケラ折れ
一度に大量の雪がずれ動くと、軒先に過大な荷重がかかり、ハケラ折れ(軒先の破損)につながることがあります。暖房で暖められた屋根が雪の下面を溶かし、上部の雪が一気に動くことが主な原因と考えられます。軒先の雪垂れも原因となることがあり、落雪の心配もあるため対処が必要です。地上の雪と屋根の雪がつながると危険なため、すぐに切り離します。ハケラ折れの補修は、軒先を捲り込め垂木を追加し、屋根ルーフィング・壁際立上げをしっかり行います。
雪止め配置に注意
2019年、雪止めの配置が原因で破損が発生したことがあります。積雪荷重が均等になりにくい配置で、雪止めの一部に荷重が集中したことが原因と思われます。雪止めの配置を再検討して補修を行いました。雪止めは、屋根からの落雪を防ぐために重要な役割を果たします。適切な場所に、適切な種類の雪止めを設置することが大切です。
- 屋根の形状は、シンプルな切妻屋根が推奨されます。
- カーポートの屋根雪は、こまめに雪下ろしを行いましょう。
- 雪止めや屋根の状態を定期的に点検しましょう。
- 必要に応じて、雪止めの交換や屋根の修理を行いましょう。
- 土地を選ぶ際は、近隣トラブルを避けるために、広さに余裕のある土地を選びましょう。