HOUSING COLUMN

窓の通風計画のポイント風向きの把握・立体通風・ウインドキャッチで夏を涼しく過ごす

窓開けによる風通しを良くする目的は、『換気』と『涼感』を得るためです。自然に囲まれ、夜間の外気温が比較的低い大野市では、室内の熱を排出させ風を感じる『涼感』のメリットが比較的高いのではないでしょうか。できるだけエアコンに頼らずに夏をしのげるとありがたいです。今回は、窓開けによる風通しについてお話しします。

🌬️ 設計・パッシブ 🗓️ 2020年8月公開

※本記事は2020年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。

窓の通風計画のポイント【窓の話3】

窓開けによる風通しの考え方について動画でご紹介しています。

YouTubeで動画を見る ※ 音声が出ます

風向きの把握

通風計画において『いつ、どこから風が吹くか』は重要です。風は気まぐれですので日射のように確定しづらいのですが、気象庁のホームページで過去データを確認することができます。2015年から2020年までの大野市のデータを調べてみました。

気象庁の平均風速・最多風向データ(2015年〜2020年、福井県大野市)
気象庁の過去データ(2015年〜2020年、大野市)。平均風速と最多風向(16方位)を年月別に示しています。

特に涼感を得たいのは、夏の暑さを感じる時期です。6月から9月頃の風向きは、南東方向から吹いていることが多いようです。何となく、南北通風と言われる訳が分かる気がします。原則として、風は気圧が高い方(温度が低い方)から低い方(温度が高い方)に吹くので、盆地の大野市では、山から下りてくる風も考慮しておきたいところです。ただし、風速や風向きは一定ではありませんので、どこから風が吹いても一定の通風量が確保できるようにしておくことも大切です。

風の性質と通風ポイント

通風には入口と出口が必要です。風は基本、まっすぐに進みますが、何かにぶつかれば向きを変えますので、部屋のいずれか2面に窓があれば風は流れます。複数の部屋に風を通す場合には、間仕切りにランマや、開け放しにできる建具を付けることが有効です。

通風の入口と出口、開口面積による通風量の違い、ランマを示した手描きの図解
通風には入口と出口が必要で、開口面積により通風量は変わります。間仕切りのランマも通風に有効です。

暖かい空気は上昇するという「煙突効果」を利用することも効果的です。最上階のできるだけ高い位置に高窓を設ければ、天井付近に溜まった熱を排出することができます。階段や吹抜けなどがあれば、1階から2階へ風を通す「立体通風」を取ることも可能です。別階への風は、同じ面にある窓の間にも流れる性質があります。

煙突効果と立体通風を示した手描きの図解
煙突効果(高窓からの排熱)と、吹抜け・階段を通じた立体通風の考え方。

外壁に平行に吹く風を捕まえる「ウインドキャッチ」という手法も効果があります。縦辷り出し窓の開き方で、風向きと平行な外壁面からも風を取り込むことが可能です。この窓の有利な点は、大きくしすぎなくても通風量が確保しやすいことです。ウインドキャッチは、窓だけでなく袖壁を設ける手法もあります。

ウインドキャッチの仕組みを示した手描きの図解(縦辷り出し窓・袖壁)
ウインドキャッチの仕組み。縦辷り出し窓や袖壁で、外壁に平行な風を取り込みます。
実際に開けられた縦辷り出し窓の外観写真
縦辷り出し窓の開き方(実例)。

まとめ

通風の面でいえば、窓は大きい方が有利ですが、断熱・日射の面からは必ずしもそうではありません。夏と冬とでは条件が逆になるので、大事なのは『バランス』となります。バランスを良くするには膨大な調査・計算が必要となります。シミュレーションソフトの重要性が、いよいよ増してくると感じています。

通風シミュレーション平面図。1階・2階各室の通風量(m3/h)をシミュレーションソフトで算出した図
通風シミュレーション平面図。1階・2階各室の通風量をソフトで算出しています(風速1.0m/sの条件)。

ここまで窓の話を3回させていただきましたが、窓が住宅に与える影響が大きいことが、少しでも伝わりましたでしょうか。

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