窓の方位と日射のバランス夏の遮熱と冬の日射取得、Low-Eガラスの使い分けのポイント
2回目の窓の話は、方位(方角)と日射の関係についてご説明したいと思います。夏と冬では、窓に求められる性能は逆と言っていいほど異なります(断熱性能はどちらも良い方がいいですけどね)。夏はできるだけ太陽熱を入れたくありませんし、冬には太陽熱を取り込んで、家の中を暖かく明るい空間にしたいです。要求の異なる夏と冬で、いかにバランスよく窓を設置するかがポイントとなります。
※本記事は2020年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
太陽の日射の熱量の大きさを調べてみました。窓1㎡あたりの数値は以下のとおりです。
| 時期 | 方位 | 日射量 |
|---|---|---|
| 夏至 | 南面 窓1㎡ | 200W |
| 夏至 | 東西面 窓1㎡ | 600W |
| 冬至 | 南面 窓1㎡ | 570W |
| 冬至 | 東西面 窓1㎡ | 250W |
一般的な掃き出し窓が幅1.6m×高さ2.0mとして約3.2㎡ですので、全ての熱量が室内に入るわけではなく、ガラスの種類によって50%入るとすると、冬の場合、南の掃き出し窓から入る熱量は概算で「570W×3.2㎡×50%=912W」となります。一般的な電気ストーブが1000W程度ですので、晴れた日の昼間であれば、電気ストーブと同程度の効果が得られます。反対に夏の場合には、東西面に同じくらいの窓があるとすれば、電気ストーブを付けながら冷房しているようなものなのです。
ご存じのように、夏は日照時間が長く正午の太陽高度が高いため暑く、冬は日照時間が短く正午の太陽高度が低いため寒くなります。私たちが住む福井県大野市において、夏至と冬至の太陽の日射角度は次のとおりです。
すなわち、南側に付ける窓は、夏は日差しが入りにくく、冬は日差しが入りやすくなるので、窓を大きくするメリットが高くなります。また、昔からある土縁を南側に付けて夏の日差しを遮ったり、南側の吹抜けから冬の日射を取り込んだりすることは、電気などのエネルギーを使わない温熱対策として非常に有効と言えます。東と西面は年間を通して太陽高度が変わらないため、夏には家の中に日差しが入りすぎてしまいがちになり、夏の冷房負荷を上げてしまうことになります。隣の家が近接している都市部等では、天窓(トップライト)が一般的な窓と比べて3倍程度の日射量となるので使い方によっては有効なのですが、大野市の積雪を考えるとあまりお勧めしていません。
Low-Eガラスをご存じでしょうか。Low-Eとは、放射熱を低減する働きを持った薄い金属の膜を、ガラス面にコーティングして利用するものです。Low-Eガラスには日射遮蔽型と日射取得型があります。複層ガラスの屋外側の内側にコーティングしたものを日射遮蔽型と呼び、日射熱を低減します。これは夏の日射対策用のガラスと言えます。屋内側の内側にコーティングしたものを日射取得型と呼び、こちらは日差しを採り入れつつ冷気や暖気を逃しにくくします。こちらは冬の断熱対策用のガラスとなります。
日射を遮蔽するのか取得するのかの使い分けは、方位で行います。冬に日射量が増える南面は窓を大きくして日射取得型を使い、一年中日射量の多い東と西面は窓を小さくして日射遮蔽型を使います。北面の窓は明るさと風通しに有効なため、意外と窓面積が増える傾向にあり、日射遮蔽型の利用をおすすめしています。
夏はとにかく遮熱が大切で、窓の性能だけに頼らず、すだれや外付けのブラインド等が有効になります。東、西面には通風を考慮する窓以外は、できるだけ窓を付けないほうがベターです。一方、冬の南側の窓から入る日射は自然の暖房機と考えられます。ある程度高い断熱性能を確保したうえで、LDKの床面積の約20%程度の窓の大きさを確保することが理想的と言われています。方位と窓の取付位置や高さ、周辺住居との位置関係から、日当たりのシミュレーションを行い、効率のよい自然暖房を行う設計を推奨いたします。
今回は窓の方位と日射の関係に絞ってお話ししました。次回は引き続き、窓の話「風通し」についてご紹介します。