耐震等級1〜3の違いとは壁量・偏心率・床倍率など耐震等級計算のポイント
前回は、木造二階建て住宅の「4号特例」についてお話ししました。計算省略と勘違いされたまま建築され続ける木造住宅が少なからずあり、建築業界の闇と言われることがあります。耐震等級の評価をしない場合であっても、建築基準法のチェックは必ず検討すべきです。今回は、長期優良住宅や性能評価住宅で使われる、品確法における「耐震等級」の計算について、分かりやすくご説明します。
※本記事は2020年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
※耐震等級の基準となる建築基準法の規定を満たした建物は「耐震等級1」と表示されます。倒壊防止(極めて稀に発生する地震=震度6強〜7を想定して人命が損なわれるような壊れ方をしない)と、損傷防止(稀に発生する地震=震度5強〜6弱を想定して大規模な修復工事を必要とする損傷をしない)が基準です。近年、これでは不十分ではないかという議論がされています。
耐震計算ソフトでは、地震の際の建物の揺れ方を3Dシミュレーションで確認できます。まずは、耐震等級1と耐震等級3を比較したシミュレーション画像をご覧ください。
X方向の揺れ方
Y方向の揺れ方
水平方向の揺れ方に、等級1と等級3とではかなりの差があることが、シミュレーションからもよく分かります。
【倒壊防止】【損傷防止】共に、想定する地震の力は等級1が1倍・等級2が1.25倍・等級3が1.5倍です。被害の程度を表現すると、震度7の地震に対して倒壊する確率は、等級1が28%・等級2が7.9%・等級3が3.5%となります。
| 等級 | 耐力 | 震度7で倒壊する確率 |
|---|---|---|
| 1 | 建築基準法上、最低限の耐力 | 28% |
| 2 | 等級1の1.25倍 | 7.9%(等級1の1/4) |
| 3 | 等級1の1.5倍 | 3.5%(等級1の1/8) |
具体的な検討としては、壁量・偏心率・床倍率を必要な分だけ満たす必要があります。画像を交えてご説明します。
壁量
1階・2階、X方向・Y方向別に、緑で表されているのが実際の建物が有している壁量です。薄い青が等級1・普通の青が等級2・濃い青が等級3の必要壁量を表します。風力による耐風等級も等級2まであり、薄茶が1・濃い茶が2です。これらは、建物の形状や大きさ・地域などから計算によって必要量が表示され、実際の存在壁量が十分あるかを画像でも検討できます。
偏心率
建物の重心と剛芯がズレていないかを確認するのが、偏心率の確認です。剛芯は筋交・耐力面材の位置によって変わるため、バランスよく配置する必要があります。
床倍率
床の強度は、耐震上非常に重要です。2階の床や屋根・天井面の強度を強くして、水平力に対抗する床倍率を確かめる必要があります。
接合部(N値計算)
その他、接合部にかかる力の向きや大きさが均等であるかを確認する「N値計算」もチェックが必要です。
今回は少し専門的な内容でしたが、客観的で公平な数値比較ができる「耐震等級」について、少しでもお伝えできていれば幸いです。当時は許容応力度による構造計算を勉強中・検討中とお伝えしていましたが、その後あまや製材では全棟で許容応力度計算を行う体制を整え、現在は全棟で耐震等級3を実現しています。