壁体内結露を防ぐ4つの層の役割防湿気密・断熱・防水防風・通気――実践編で解説する壁の断面構成
前回は、壁体内結露が起こる原因と、壁の中は外側に向かうほど透湿抵抗を少なくするのが原則であることをお話ししました。今回はその実践編として、壁の中を構成する「防湿気密層」「断熱層」「防水防風層」「通気層」という4つの層の役割を詳しく解説します。それぞれの層は役割が異なり、一つの部材に二つの役割を持たせるとリスクが増えるため、4つの層を確実につくることが結露対策の基本です。
※本記事は2021年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
1. 防湿気密層
室内の水蒸気が壁体内に侵入するのを防ぐ層です。水蒸気を通しにくい(透湿抵抗の高い)材を使用するのが原則です。湿度により透湿抵抗が変化する調湿シートもありますが、あまや製材では厚さ0.2mmのポリエチレンシートで、透湿抵抗の高さを優先しています。
2. 断熱層
壁の中の温度変化を緩やかにする層です。冬に簡単に温度が下がれば露点に達しやすく、夏に簡単に湿度が上がると露点に達しやすくなります。壁の中の温度を急激に変化させないようにすることも、壁体内結露を防止する方法のひとつです。断熱材は隙間なく連続していることが大切で、壁の中だけでなく床と壁、壁と天井等の連結部の納まりにも注意が必要です。比較的透湿抵抗の高いプラスチック系断熱材があり、防湿を兼ねて利用することもあるようですが、断熱材を防湿材として利用することはリスクが増大します。一つの材料が破綻すると、すべてがダメになってしまいます。
3. 防水防風層
繊維系断熱材に風が当たると断熱性能が落ちます。雨水が侵入してきたときに壁の中に入れない防水性能も重要です。防水防風層の役割は、外部からの風・雨の侵入を防ぎ、内部の水蒸気を外へ逃がすことです。具体的には耐力面材と透湿防水シートを利用しますが、耐力面材で注意したいのは、構造用合板が意外に水蒸気を通しにくい点です。あまや製材では、ダイライトやモイスなど透湿抵抗の低い面材をお勧めしています。透湿防水シートは水は通さず水蒸気は通しやすい部材で、雨が多く湿気の多い福井県では必須となります。防水上の最終部材となりますが、外壁をはがさないと交換・検査のできない部材のため、防水耐久性の高い製品を選びましょう。
4. 通気層
構造躯体の外部に通気層を取るメリットは、水分を入れない・出すこと、そして外装材の熱を構造躯体に直接伝えないことです。熱の伝わり方(熱伝導・対流)を踏まえ、空気の入り口と出口をはっきりさせて通り道を塞がないことが大切です。耐力面材を使わずに発泡系の断熱材を使用すると、通り道が塞がる可能性が高まります。壁の通気層と小屋裏は連結させることが一般的ですが、連結部を塞いでしまう間違った施工にも注意が必要です。小屋裏に溜まった湿気は、屋根の最も高い場所に付ける棟換気で排出することをお勧めします。
今回、壁体内結露を詳しくまとめるにあたり、あまや製材なりの見解をまとめました。内部結露防止については冬型結露に重きを置き、室内側に透湿抵抗の高い防湿シートを設置し、外側に向かって抵抗を少なくしていくことで、壁体内の湿気を外部に排出しやすくする方針がよさそうです。今後取り組んでいく付加断熱についても、できるだけ透湿抵抗の低いものを選定していこうと考えています。
夏型結露については原因が単一ではなく、施工中の未乾燥等による初期型結露や、床下からの漏気、そして意外と大きい要因である雨水の浸透が重なって起こることが多いようです。壁の中に雨水を入れない、湿気が侵入してしまったら外に出す、といった防水施工の基本が、思った以上に大事だとわかりました。また、壁を直接冷やす冷房器具に比べ、エアコンの冷房では室温に対して壁の表面温度はそこまで下がらないようです。ビニールクロス等を施工する場合、室内へ湿気を逃がす考え方は危険が伴いそうです。
結露判定を行う定常計算も行いましたが、冬は防湿シートがあれば問題ありません。夏はリスクを過大評価する傾向があります。安全側であればよいという判断ではなく、実情を踏まえたうえでコストパフォーマンスよく判断するほうがよさそうです。
また、最近流行りの基礎断熱は行わず、床断熱を推奨しています。内部結露に対して、コンクリート打設後の湿気は残りやすく、夏型結露の事故発生の多くは、地下室やドライエリア、基礎断熱がほとんどであるようです。内部結露を防ぐ断熱構成には様々な組み合わせが考えられるため、基本を理解したうえで、今後も改良を継続していきます。