プランディスカッションとは暮らし方から家づくりを考える、設計打合せの3つの視点
家づくりのプロセスの中でも「設計が一番楽しい」と言われるお客様はたくさんいらっしゃいます。設計は家づくりの要。ここでお客様の気持ちを汲み取ることができなければ、一生懸命に建てた家も満足して住んでいただくことはできません。今回は、ご要望の汲み取り方「プランディスカッション」についてお話します。
※本記事は2017年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
家づくりの計画において、お客様とプロの違いは、考えるときの視点の数です。プラン作成にあたり、重要な3つのポイントとは?
まずは敷地に行きましょう。街や道は暮らしの延長線上にあり、周辺環境から暮らしや住まいに求められる要素が見つかるかもしれません。敷地を読むためには、敷地内だけを観察していても限界があります。
- お隣はどんな家ですか?
- その敷地はどんな通りに面していますか?
- その街にはどんな特徴がありますか?
現場を「見る」「歩く」ことが大前提。そんなことを肌で感じて、計画に反映させましょう。
<新たな発見を導く分析の例>
- 1. 地形や地名の由来に着目 周辺の地名により以前の敷地はどうか推測し確認してみる。
- 2. 景観にはどんなリズムがあるだろうか? 通り全体を見渡すと、隣家や道路に対する離れ、塀は、屋根型は、外壁の仕上げはetc。景観の流れを美しくするため、これらのリズムを把握することが大切です。
- 3. 車の通り道 車の交通量がひどく多い場合、出入の際の安全と騒音や排気を遮断する配置や建物性能が重要となる。
- 4. 日照、通風、眺望は? これらを考えるにあたっては、隣の家や道路との関係を考慮し敷地活用することが大切です。
- 5. ニオイや音にも気をつけよう 工場やトラックの音だけでなく、隣家やお向かいの家から発生するニオイや音にも注意。最低でも、隣家のトイレの換気扇、駐車場の位置等は確認しておきましょう。
暮らしは生活行為そのものです。暮らしを読む基本は「5W1H」。「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように過ごす」だけではなく「誰と」が大切です。
| 区分 | 英語 | 問いかけ |
|---|---|---|
| 人 | Who | 誰がですか? |
| With | ひとりで? 誰かと一緒に? | |
| By | ひとりで? 誰かのそばで? | |
| Why | なぜですか? | |
| 行為 | What | 何をする? |
| How | どのように過ごす? | |
| 時間 | When | 一日のどの時間帯に? |
| 場所 | Where | どの場所で? |
食べる、寝るなど、当たり前の生活行為も、あらためて話題にすることで暮らしを読みましょう。では、具体的にどのようなディスカッションが必要なのでしょうか?
<ディスカッション例>
- 1. 家を建てる動機について なぜ、家を建てたいのでしょう?強く思っているのは誰?そして、いつまでに?
- 2. 現状の気に入っている点、不満 新しい家への夢や希望は、現状の暮らしがベースになって出てきます。現状の暮らしの不満を、新しい家で解決することが必要です。
- 3. これからの夢 建て主様の目がもっとも輝くときかもしれません。大きなお風呂でリラックス、本格派の料理、etc。大切な実現したい時間を話しましょう。
- 4. 十年後、二十年後 歳月を経て、家族のライフステージが変化するのは極めて自然なことです。子供の成長に伴う家族関係の変化にどう対応する?など、将来を見据えた家づくりを語りましょう。
住宅会社によっては、ヒアリングを営業担当者が行って、内容を設計担当者に伝える場合があります。伝言ゲームのように誤解が生まれる場合があります。また、建て主様のちょっとした一言に、ご本人が気づいていない重要な事が隠れている場合があります。設計士はたくさんの異なる重要な視点を同時に考えながらプランを考えます。複数の条件をまとめ上げるということは…そう!どうしても優先順位をつけなくてはいけないんです。
<重要な視点とは>
- 建て主様の要望
- 建て主様の暮らし方・将来
- 法的規制・構造
- 周辺環境・敷地条件
- 通風・採光
- デザイン
- 予算
法的規制や構造上の条件はどうしても最優先となります。法律的にも問題が建て主様にも近隣の方にも安心・安全に暮らしていただくためにご理解ください。
家族の中で意見が一致しない…よくあることです。そんなときどうするか?誰がどう思っているか?を素直に設計士に伝えてください。それをうまくまとめるのも設計士の腕の見せ所です。とはいえ、どうしても譲れないことははっきり言っておきましょう。何を優先するかは全体の方向性を導く羅針盤のようなものです。
最後に、もう一つだけ大切なことをお伝えします。プロの意見には、今までの家づくりやメンテナンスで培ってきた経験と知識が裏打ちされています。言われた時には「え?」と思うようなことでも、後から「言ってくれてよかった」というようなことがあります。ご自身の要望に加えて家づくりのプロの知識や経験を上手に活かして、よりよい家をつくっていただきたいと思います。