夏場の現場における熱中症対策新ヘルメット・現場用エアコン・空調服で大工の健康を守る取り組み
地球温暖化に伴い、熱中症による救急搬送は年々増加しています。高温多湿な環境での作業が多い建設業界は、特に熱中症のリスクが高い業種のひとつです。国のデータから建設現場の実情をひも解きながら、あまや製材が実際の建築現場で行っている、大工・職人の健康を守るための熱中症対策をご紹介します。
※本記事は2024年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
気温の高い環境で体温が上がり、体内の水分と塩分のバランスが崩れることで体温調節の機能が働かなくなり、めまいや痙攣、頭痛、吐き気などさまざまな症状を引き起こす病気です。手遅れになると命にかかわる病態で、近年、熱中症による救急搬送人員は毎年数万人を超え、死亡者数は5年移動平均で1,000人を超える高い水準で推移しています。
職場における熱中症による死傷災害の発生状況
2023年(令和5年)に職場で発生した熱中症による死亡者及び休業4日以上の死傷者数は1,045人。そのうち28人が亡くなっています。
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業種別の熱中症死傷者数では、建設業が圧倒的に多く発生しています。
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建設業で死傷者数が多い理由
- 過酷な環境:空調の無い室内や炎天下、照り返しの強い地面近くでの作業など、高温多湿になりやすい環境が発症を高める要因となっています。
- 体への負担が多い作業:重い物を持ったり高所での作業で大量の汗をかくことにより、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、体温調節ができなくなると熱がこもり熱中症を引き起こします。
- 熱中症による転落事故:高温・高所での長時間の作業で体力を消耗し疲労が蓄積、さらに熱中症が原因で墜落・転落災害が起こる可能性が高く、2次災害の恐れがあります。
環境省は2024年4月24日から「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始しました。これは、気温が著しく高くなり、熱中症による健康への重大な被害が生じる恐れのある場合に発表される情報です。具体的には、都道府県内すべての観測地点において、翌日の最高暑さ指数(WBGT)が35に達すると予測される場合に発表されます。
WBGT(暑さ指数)とは、気温・湿度・日射量などを考慮して数値化した暑さの指数で、熱中症を予防する際の目安となります。
熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの違い
| 比較項目 | 熱中症特別警戒アラート | 熱中症警戒アラート |
|---|---|---|
| 発表基準 | 暑さ指数(WBGT)35以上 | 暑さ指数(WBGT)33以上 |
| 対象エリア | 都道府県 | 府県予報区 |
| 発表条件 | 都道府県内のすべての観測地点で、翌日の暑さ指数35以上が予測される場合 | 府県予報区内のいずれかの観測地点で、暑さ指数33以上が予想される場合 |
| 発表時期 | 前日の14時 | 前日の17時と当日の5時 |
熱中症特別警戒アラートは、都道府県内のすべての観測地点において暑さ指数が35を超えた場合にのみ発表されます。1か所でも35未満の地点があると発表されないため注意が必要です。特別警戒アラートが発表されていなくても、自分の住んでいる地域の暑さ指数が35以上のときは警戒が必要です。
| 暑さ指数(WBGT) | 注意すべき生活活動の目安 | 注意事項 |
|---|---|---|
| 危険(31以上) | すべての生活活動でおこる危険性 | 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
| 厳重警戒(28以上31未満) | すべての生活活動でおこる危険性 | 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意。 |
| 警戒(25以上28未満) | 中等度以上の生活活動でおこる危険性 | 運動や激しい作業をする際は定期的に十分な休息を取り入れる。 |
| 注意(25未満) | 強い生活活動でおこる危険性 | 一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。 |
- 2023年度の発令回数:1,232回(関東甲信越228回/近畿地方145回/東北地方108回/北陸地方135回 等)
- 2023年度の救急搬送人員:5〜9月の累計9万1,467人。2008年の調査開始以降、過去2番目の多さとなっています。
熱中症発生の時間帯
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14時台を中心に死亡者が増加し、17時台に再び増加しています。帰宅してから体調が急変・悪化したというケースもあります。暑さ指数(WBGT)が28を超えた時点で、熱中症が増加していることが分かっています。
こうした状況を踏まえ、弊社が実際の建築現場で行っている熱中症対策をご紹介いたします。
新ヘルメットの採用
従来型のヘルメットは内部が発泡スチロールで覆われていたため、熱がこもってムレやすい状態でした。新しいヘルメットは発泡スチロールがなくなり、内部に空間が生まれたことで通気性が格段に向上。重量も大幅に軽くなり、首への負担も軽減されました。墜落時保護・飛来落下物等の国家検定合格品のため、性能はそのままに通気性アップと軽量化を実現しています。
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現場用エアコンの設置
新築現場の2階にエアコンを設置しました。天井がつくまでは断熱が無いため冷たい風が逃げてしまいますが、それでもだいぶ涼しくなります。エアコンからの排水は1時間でバケツいっぱいになるそうです。まだまだ暑い日が続く中、大工さんが中での作業を少しでも快適にできるようになればと考えています。
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空調服の着用
腰や脇部分に小さなファンが付いている作業服です。服の内側や首元に風が当たることで体を冷やし、体温や発汗量を一定に保つため、体力の消耗も防ぎます。最近はベストタイプも登場しており、軽量化によって作業効率も上がっています。
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そのほかの取り組み
- 時間帯で作業面を変える:太陽の動きに合わせて、朝は西面、昼は北面、夕方は東面など、時間帯によって作業する面を変えています。
- こまめな休憩:真夏日や猛暑日など暑い日には、1時間ごとに休憩を入れるなど、こまめな休息を取ります。水分や塩分の補給も積極的に行います。
- 見回り:朝は健康であっても、気温が上がることで作業途中に熱中症を発症することがあります。定期的に見回りを行い、体調に変化がないかを確認します。1人で作業することも多い大工さんには、積極的に声をかけたり顔色を見たりするなど、夏場は特に注意しています。
- 人数の増員
- 日程調整:工程表作成時に、真夏の気温を考慮し、期間に少し余裕をもたせる配慮をしています。
- 時期をずらす:アスベスト調査・工事などは専用マスクの着用をしての作業になるため、なるべく真夏を避けるなど考慮しています。
過酷な暑さとなる真夏の現場は、熱中症対策が欠かせません。こまめな休憩や水分・塩分補給はもちろん、作業現場の快適性など環境を整備することも重要です。「暑さで大変なこともあるけど、納期を遅らせないよう頑張るよ!!」と、現場の大工さんが話してくれました。