HOUSING COLUMN

夏場の現場における熱中症対策新ヘルメット・現場用エアコン・空調服で大工の健康を守る取り組み

地球温暖化に伴い、熱中症による救急搬送は年々増加しています。高温多湿な環境での作業が多い建設業界は、特に熱中症のリスクが高い業種のひとつです。国のデータから建設現場の実情をひも解きながら、あまや製材が実際の建築現場で行っている、大工・職人の健康を守るための熱中症対策をご紹介します。

🏗️ 現場管理 🗓️ 2024年8月公開

※本記事は2024年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。

熱中症とは

気温の高い環境で体温が上がり、体内の水分と塩分のバランスが崩れることで体温調節の機能が働かなくなり、めまいや痙攣、頭痛、吐き気などさまざまな症状を引き起こす病気です。手遅れになると命にかかわる病態で、近年、熱中症による救急搬送人員は毎年数万人を超え、死亡者数は5年移動平均で1,000人を超える高い水準で推移しています。

職場における熱中症による死傷災害の発生状況

2023年(令和5年)に職場で発生した熱中症による死亡者及び休業4日以上の死傷者数は1,045人。そのうち28人が亡くなっています。

職場における熱中症の死傷者数・死亡者数の年別推移グラフ(2014年〜2023年) 拡大する
2014年の死傷者数423人(死亡12人)から、2018年には1,178人(死亡28人)まで急増。2023年は1,045人(死亡28人)で推移しています。

業種別の熱中症死傷者数では、建設業が圧倒的に多く発生しています。

業種別の熱中症死傷者数グラフ(2019年〜2023年の合計) 拡大する
2019〜2023年の5年間で、建設業の死傷者数は886人(うち死亡54人)と全業種の中で最多。次いで製造業846人(同18人)、その他701人(同7人)、運送業583人(同5人)、商業435人(同11人)、警備業428人(同18人)、清掃・と畜業272人(同6人)、農業95人(同9人)、林業36人(同0人)と続きます。

建設業で死傷者数が多い理由

「熱中症特別警戒アラート」の運用スタート

環境省は2024年4月24日から「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始しました。これは、気温が著しく高くなり、熱中症による健康への重大な被害が生じる恐れのある場合に発表される情報です。具体的には、都道府県内すべての観測地点において、翌日の最高暑さ指数(WBGT)が35に達すると予測される場合に発表されます。

WBGT(暑さ指数)とは、気温・湿度・日射量などを考慮して数値化した暑さの指数で、熱中症を予防する際の目安となります。

熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの違い

比較項目熱中症特別警戒アラート熱中症警戒アラート
発表基準暑さ指数(WBGT)35以上暑さ指数(WBGT)33以上
対象エリア都道府県府県予報区
発表条件都道府県内のすべての観測地点で、翌日の暑さ指数35以上が予測される場合府県予報区内のいずれかの観測地点で、暑さ指数33以上が予想される場合
発表時期前日の14時前日の17時と当日の5時

熱中症特別警戒アラートは、都道府県内のすべての観測地点において暑さ指数が35を超えた場合にのみ発表されます。1か所でも35未満の地点があると発表されないため注意が必要です。特別警戒アラートが発表されていなくても、自分の住んでいる地域の暑さ指数が35以上のときは警戒が必要です。

暑さ指数(WBGT)注意すべき生活活動の目安注意事項
危険(31以上)すべての生活活動でおこる危険性高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒(28以上31未満)すべての生活活動でおこる危険性外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意。
警戒(25以上28未満)中等度以上の生活活動でおこる危険性運動や激しい作業をする際は定期的に十分な休息を取り入れる。
注意(25未満)強い生活活動でおこる危険性一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

熱中症発生の時間帯

時間帯別の熱中症死傷者数グラフ(2019年〜2023年の合計) 拡大する
9時台以前487人(死亡8人)、10時台423人(同12人)、11時台528人(同12人)、12時台352人(同12人)、13時台341人(同13人)、14時台527人(同20人)、15時台540人(同13人)、16時台444人(同10人)、17時台285人(同19人)、18時台以降355人(同9人)となっています。

14時台を中心に死亡者が増加し、17時台に再び増加しています。帰宅してから体調が急変・悪化したというケースもあります。暑さ指数(WBGT)が28を超えた時点で、熱中症が増加していることが分かっています。

現場での熱中症対策

こうした状況を踏まえ、弊社が実際の建築現場で行っている熱中症対策をご紹介いたします。

新ヘルメットの採用

従来型のヘルメットは内部が発泡スチロールで覆われていたため、熱がこもってムレやすい状態でした。新しいヘルメットは発泡スチロールがなくなり、内部に空間が生まれたことで通気性が格段に向上。重量も大幅に軽くなり、首への負担も軽減されました。墜落時保護・飛来落下物等の国家検定合格品のため、性能はそのままに通気性アップと軽量化を実現しています。

新しく導入したヘルメット。左が社名の入った外観、右が内部の様子で発泡スチロールがなく通気性のある構造になっている 拡大する
発泡スチロールをなくし、通気性と軽量化を両立した新しいヘルメット。

現場用エアコンの設置

新築現場の2階にエアコンを設置しました。天井がつくまでは断熱が無いため冷たい風が逃げてしまいますが、それでもだいぶ涼しくなります。エアコンからの排水は1時間でバケツいっぱいになるそうです。まだまだ暑い日が続く中、大工さんが中での作業を少しでも快適にできるようになればと考えています。

新築現場の2階に設置したエアコンと、排水を受けるバケツの様子 拡大する
断熱前の現場でもエアコンを稼働。排水は1時間でバケツいっぱいになります。

空調服の着用

腰や脇部分に小さなファンが付いている作業服です。服の内側や首元に風が当たることで体を冷やし、体温や発汗量を一定に保つため、体力の消耗も防ぎます。最近はベストタイプも登場しており、軽量化によって作業効率も上がっています。

腰にファンの付いた空調服を着用した作業員の後ろ姿 拡大する
腰のファンで服の中に風を送り、体温の上昇を防ぐ空調服。

そのほかの取り組み

まとめ:暑さに負けない現場づくりを

過酷な暑さとなる真夏の現場は、熱中症対策が欠かせません。こまめな休憩や水分・塩分補給はもちろん、作業現場の快適性など環境を整備することも重要です。「暑さで大変なこともあるけど、納期を遅らせないよう頑張るよ!!」と、現場の大工さんが話してくれました。

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