2020年度の法制度ポイント省エネ基準の説明義務から民法改正、長期優良住宅の見直しまで5つの要点
2020年は法改正が多く、住宅建築に密接に関わる法制度をまとめました。お施主様にも関係する内容が多いので、ぜひ参考にしてください。今回ご紹介するのは、次の5つの制度です。
- 1. 省エネ基準説明義務制度
- 2. 民法改正(契約不適合責任)
- 3. 長期優良住宅の見直し
- 4. 土地関連法の見直し
- 5. 改正意匠法
※本記事は2020年公開時点の情報です。その後の制度改正や仕様の変更により、現在の内容と異なる場合がございます。
制度概要
設計者が施主に、建物が省エネ性能の基準に適合しているかを説明することを義務付ける制度が2021年4月から始まります。これは、2019年5月に成立した改正省エネ法の、戸建てを含む小規模住宅に対する省エネ施策のひとつです。当初の予定では基準への適合そのものが義務化される予定でしたが、「説明義務」にとどまったことが業界で話題になりました。なお、施主様が説明を希望されない場合は、説明は不要となります。
義務化される説明内容
- 省エネ基準に適合しているか否か
- 適合していない場合は、適合するために取るべき措置
建築士が契約前に書面を交付して説明を行い、その書面は建築事務所の保存図書に追加されます。
手続きの流れ
- ①建築士→施主:省エネ基準説明の意思確認
- ②施主→建築士:説明を受けるかどうかの意思表明
- ③建築士→施主:省エネ基準への適合性評価を説明し、書面を交付
- ④施主:書面を受領
制度概要
民法改正により、新築住宅等における契約のルールが2020年4月より大きく変わります。「契約不適合責任」という考え方が導入され、これまでの「瑕疵か否か」ではなく、「契約に適合しているか」が問われるようになります。施主様が契約不適合を知った時から1年以内に通知すればよく、知った時から5年、権利行使できるようになってから10年、権利が続きます。なお、住宅品確法における瑕疵担保責任の対応は変わらず、新築住宅の構造的欠陥や雨漏り等の瑕疵については、引き続き10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
契約不適合責任の期間(新築住宅の引渡し後)
- 権利を行使できる時から10年
- 不適合を知ってから5年
求められる対応
- 契約内容の確認
- 契約内容の履行の徹底
- 打合せ記録・完了検査の実施
中小工務店の認定率が著しく低い現状を改善するための措置です。性能表示制度との一体的運用によって手続きを合理化し、申請から認定までの期間を短縮することで、利用者の負担軽減が図られます。また、流通時に高く評価される仕組みや、増改築認定へのインセンティブ強化を図る施策が、2020年4月以降、順次展開されていく予定でした。
近年、所有者不明土地の増加により、災害や防犯面の危険度が増していることが社会問題となっています。従来の「土地所有者の権利を守る」という考え方から、「土地所有者は利用・管理の責務を負う」という考え方へとシフトしていく流れの中で、次のような見直しが進められました。
- 所有者不明土地利用促進法(2019年6月施行):所有者以外でも、公益の実現が目的であれば10年まで土地を利用できるようになりました。
- 表題部所有者不明土地の特定(2020年11月頃):登記内容に不備があり所有者を特定できない土地に対し、裁判所が選任した管理者が売却等を行える制度が始まりました。
- 登記制度の見直し方向:相続時の登記申請を義務付ける制度の導入、土地所有権の放棄を可能にする制度、遺産分割の期限を設け権利者不明でも一定期間経過後に法定相続分を相続できるようにする方針、が示されました。
建築物の外観や内装の意匠登録が可能となる改正意匠法が、2020年4月に施行されました。意匠登録が認められれば、最長で25年間の意匠権が発生します。審査では新規性と独自性が問われ、住宅への適用は未知数な部分もありますが、意匠権の侵害に注意が必要な制度です。
- 画像デザインの保護:Webデザインも意匠権の対象として認められるようになりました。
- 空間デザインの保護:建物の内装・空間デザインも対象になりました。
- 関連意匠制度の拡充:本意匠の出願日から10年以内まで、関連する意匠の出願が可能になりました。
- 意匠権存続期間の延長:出願日から25年に延長されました。
2020年前後は、省エネ性能の説明義務化や契約ルールの見直しなど、施主様の安心につながる法改正が相次いだ年でした。あまや製材では、こうした制度の変化を踏まえながら、契約前の丁寧な説明と、性能を数値で示す明快な家づくりを大切にしています。