現状、弊社の標準施工では外壁側を耐力面材としています。
木造軸組工法の耐力壁として筋交が代表的ですが筋交を外壁側に施工すると、
充填断熱材をカットする必要があり、断熱欠損が起こりやすいからです。
2024年度から内部の耐力壁においても耐力面材の利用を採用始めました。
今回は、内部耐力面材を使用する理由をお話しします。
想定外の地震など大きな水平力が繰り返し加わった時、
耐力壁が最初に破壊されるように設計することは、建物全体が崩壊するのを防ぎ、
構造的な安全性を確保するための最も重要な設計方針です。
破壊の順序を制御することで、最終的には安全性を向上させることができます。
これらの構造要素の性能は、
耐力壁の強さを基準として、必ず上回るように設計することが、
木造軸組住宅の許容応力度計算の大きな特徴です。
●水平構面の検定
●柱の接合部と座屈の検定
●横架材の接合部の検定
●基礎の設計
耐力壁は評価指標は4つあります。
●降伏耐力(変形が戻らなくなるポイント)
●靭制(粘り強さ)
●最大荷重
●特定変形時の耐力
最大強度は同じでも、わずかな変形で最大に達する硬い壁と、
大きな変形をしてから最大に達する柔らかい壁があり、
最大強度が同じでも強度が持続する粘り強さがある壁があります。
理想的な耐力壁は初期剛性があり、最大強度が大きく、
靭性の高い壁となりますがそのような万能な壁はありません。
木材は鋼材に比べて粘りの少ない材料です。
木造住宅でよく使われる筋交の壁倍率は現在では過大評価されている可能性があります。
また、大きな圧縮力を受けると座屈して一気に耐力が下がってしまい靭性が低いと言えます。
現状では、耐力面材の耐力壁を採用し、最終的に釘やビスが引き抜けるような壊れ方をする形が,
比較的バランスが良く、大地震での倒壊リスクを低減しやすいです。
地震時に耐力壁が本来の力を発揮するためには、耐力壁に負けない接合部を選定することが重要です。
接合部にかかる力を出来るだけ正確に求める必要があります。
耐力面材は構造用合板が代表的ですが、壁倍率、防水性、防カビ性、透湿性、耐火性等の性能にを考慮し、
弊社では以下の製品を標準採用しています。
耐力面材は原則、梁まで施工する必要がありますので天井の施工が後になります。
壁内の密閉度が高まり、防火上、壁体内結露上は有利となりますが、
天井施工が最後になり施工に手間がかかります。