前回は
1.壁体内結露の原因について。
2.原則、外側に行くほど透湿抵抗を少なくする。
についてお話ししました。
壁の中は、様々な層で成り立ち、それぞれ役割が違います。
役割としては、防湿気密・断熱・防水防風透湿・通気、
この4つの層を確実に造る事が基本となります。
一つの部材に役割を二つ与える事はリスクが増えます。
今回、壁体内結露を詳しくまとめるにあたり、弊社なりの見解をまとめてみました。
内部結露防止について原則としては冬型結露に重きを置き、
室内側に透湿抵抗の高い防湿シートを設置し、外側に向かって抵抗を少なくしていくことで、
壁体内の湿気を外部に排出しやすくする方針がよさそうである。
今後、取り組んでいくべき付加断熱も出来るだけ透湿抵抗の低いものを選定していこうと考えています。
夏型結露については原因が単一ではなく、施工中の未乾燥等の初期型結露や、
床下からの漏気、意外と大きいのが雨水の浸透によるものが重なって起こることが多いようです。
壁の中に雨水を入れない。湿気が侵入してしまったら出す、
といった防水施工の基本が思った以上に大事なことがわかりました。
また、壁を直接冷やす冷房器具に比べ、エアコンの冷房では室温に対して、
壁の表面温度はそこまで下がらないようです。
ビニールクロス等を施工する場合には室内へ湿気を逃がす考え方は危険が伴いそうです。
結露判定を行う定常計算も行いましたが冬は防湿シート有であれば問題ありません。
夏はリスクを過大評価する傾向があります。安全側であればよいという判断ではなく、
実情を踏まえたうえでコスパ良く判断するほうがよさそうです。
また、最近はやりの基礎断熱は行わず床断熱を推奨しています。
内部結露に対して、コンクリート打設後の湿気は残りやすく、
夏型結露の事故発生の多くは地下室やドライエリア、基礎断熱がほとんどであるようです。
内部結露を防ぐ断熱構成には様々な組み合わせが考えられます。
基本を理解したうえで今後も改良を継続していきます。