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壁の中の結露についてその1

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壁の中の結露(壁体内結露)について2 2021.10.19Revised Building Energy Conservation Law

      

前回は
1.壁体内結露の原因について。
2.原則、外側に行くほど透湿抵抗を少なくする。
についてお話ししました。

壁の中は、様々な層で成り立ち、それぞれ役割が違います。
役割としては、防湿気密・断熱・防水防風透湿・通気、
この4つの層を確実に造る事が基本となります。
一つの部材に役割を二つ与える事はリスクが増えます。


4つの層の役割

  • 1.防湿気密層

    室内の水蒸気が壁体内に侵入するのを防ぐ層です。
    水蒸気を通しにくい(透湿抵抗の高い)材を使用するのが原則です。
    湿度により透湿抵抗が変化する調湿シートもありますが、
    弊社では厚さ0.2ミリのポリエチレンシートで透湿抵抗の高さを優先しています。

    防湿気密層についてその1

    防湿気密層についてその2

    防湿気密層についてその3


  • 2.断熱層

    壁の中の温度変化を緩やかにする層です。
    冬に簡単に温度が下がれば露点に達しやすく、夏に簡単に湿度が上がると露点に達しやすくなります。
    壁の中の温度を急激に変化させないようにすることも壁体内結露を防止する方法です。
    断熱材は隙間なく連続していることが大切です。
    壁の中だけではなく床と壁、壁と天井等の連結部の納まりに注意が必要です。
    比較的透湿抵抗の高いプラスチック系断熱材があり、防湿を兼ねる利用することもあるようですが、
    断熱材を防湿材として利用することはリスクが増大します。
    一つの材料が破綻すると全てがダメになります。

    断熱層についてその1

    断熱層についてその2


  • 3.防水防風層

    繊維系断熱材に風が当たると断熱性能が落ちます。
    雨水が侵入してきたときに壁の中に入れない防水性能も重要になります。
    防水防風層の役割は外部からの風・雨の侵入防止と内部の水蒸気を外へ逃がすことです。
    具体的には耐力面材と透湿防水シートを利用するのですが、
    耐力面材で注意したいのは構造用合板が意外に水蒸気を通しにくい点です。
    ダイライトやモイスなどの透湿抵抗の低い材をお勧めしています。
    透湿防水シートは水は水は通さず水蒸気は通りやすい部材で、
    雨の多く湿気の多い福井県では必須となります。
    防水上の最終部材となりますが、外壁をはがさないと交換・検査の出来ない部材です。
    防水耐久性の高い製品を選びましょう。

    防水防風層についてその1

    防水防風層についてその2


  • 4.通気層

    構造躯体の外部に通気層を取るメリットは、
    水分を入れない・出す、外装材の熱を構造躯体に直接伝えない効果です。
    熱の伝わり方、熱伝導、対流、
    空気の入り口と出口をはっきりさせて通り道を塞がない、
    耐力面材を使わないで発砲系の断熱材を使用すると通り道が塞がる可能性が高まります。
    壁の通気層と小屋裏は連結させることが一般的ですが、
    連結部を塞いでしまう間違った施工にも注意が必要です。
    小屋裏に溜まった湿気は屋根の最も高い場所に付ける棟換気をお勧めします。

    通気層についてその1

    通気層についてその2





まとめ

今回、壁体内結露を詳しくまとめるにあたり、弊社なりの見解をまとめてみました。
内部結露防止について原則としては冬型結露に重きを置き、
室内側に透湿抵抗の高い防湿シートを設置し、外側に向かって抵抗を少なくしていくことで、
壁体内の湿気を外部に排出しやすくする方針がよさそうである。
今後、取り組んでいくべき付加断熱も出来るだけ透湿抵抗の低いものを選定していこうと考えています。

断面構成

夏型結露については原因が単一ではなく、施工中の未乾燥等の初期型結露や、
床下からの漏気、意外と大きいのが雨水の浸透によるものが重なって起こることが多いようです。
壁の中に雨水を入れない。湿気が侵入してしまったら出す、
といった防水施工の基本が思った以上に大事なことがわかりました。
また、壁を直接冷やす冷房器具に比べ、エアコンの冷房では室温に対して、
壁の表面温度はそこまで下がらないようです。
ビニールクロス等を施工する場合には室内へ湿気を逃がす考え方は危険が伴いそうです。

結露判定を行う定常計算も行いましたが冬は防湿シート有であれば問題ありません。
夏はリスクを過大評価する傾向があります。安全側であればよいという判断ではなく、
実情を踏まえたうえでコスパ良く判断するほうがよさそうです。

定常計算冬

定常計算夏

また、最近はやりの基礎断熱は行わず床断熱を推奨しています。
内部結露に対して、コンクリート打設後の湿気は残りやすく、
夏型結露の事故発生の多くは地下室やドライエリア、基礎断熱がほとんどであるようです。

内部結露を防ぐ断熱構成には様々な組み合わせが考えられます。
基本を理解したうえで今後も改良を継続していきます。


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