株式会社あまや製材で代表をしております一級建築士 竹田稔と申します。
H15年にUターン就職で地元に戻って設計をする際に、当時の社長によく言われたのが、雪をなめるな でした。
東京、京都で勤務していた私にとって?だったのを覚えています。
今回は、屋根雪処理の方法についてお話したいと思います。
建築基準法では雪の重さは積雪量1pあたり20N(約2kg)と設定されていますが、福井県では1.5倍の30N(約3Kg)に設定されています。
積雪1m 屋根面積1uで300Kgもあり、40坪程度の家の屋根面積約85uで換算すると2.5tです。
北海道当りの寒い地域と違い、福井県は温暖な地域であるので、湿り気が多く雪が重いのです。
また、積もった雪は上の雪に圧縮されますので積雪が続いた屋根雪はぎゅっと固まり、もっと重くなります。怖いのは屋根雪で重くなった住居に地震力が掛かった時です。
屋根雪により建物の重量が増し、地震力が倍増します。
そのため、屋根に積もる雪を均等になるような屋根形状にしたり、耐震の壁量を増やしておく必要があります。
また、屋根の向きにより雪の解けるスピードが違う事にも注意が必要です。
二階の屋根から落ちた雪は地面でカチカチになって角底スコップで突き刺しても刺さりにくいくらいです。
除雪の際に、重機を利用すると思ったより費用が掛かるので注意してください。
地域の雪の性質を知っておくことはトラブル防止に役立ちます。
以前のコラムにも書きましたが屋根雪の処理の仕方には大きく分けて3つあります。
敷地が広くて雪を降ろしっぱなしに出来る敷地であれば自然落下屋根も選択肢に入ります。
屋根勾配が急であればさっと落ちますが、たまってから落ちる勾配だと、落下時ものすごい音がします。
落ちた雪が固くて除雪しずらいので重機が入れるように出来ると良いでしょう。
落ちた雪が近隣トラブルにつながりやすいので注意してください。
個人的には屋根を雪置き場として使うことをお勧めしています。
少しの雪であれば、日当たりの良い屋根の上で自然に解けますし、家の周りを排雪する回数も少なくなります。
積雪が多くなると雪降しが必要となるので、特に軒先から2m程度は雪降しスペースを確保してください。
屋根自体の強度も必要となりますので屋根垂木の高さや間隔に注意が必要です。
軒先だけでも屋根融雪装置を使えば雪降しの手間が軽減されます。
初期投資とランニングコスト、メンテナンスコストが掛かるので採用率は低いです。
融雪時期のみ利用するホワイトプラン契約がお得です。
屋根形状はシンプルな切妻屋根がお勧め、谷があると積雪が集中します。
地上の雪と屋根の雪が連結すると地上の雪の荷重が屋根に加算されるので危険です。
すぐに切り離してください。
屋根のないバルコニーや掃き出し窓の前に雪が積もって窓に荷重が掛かる設計は避けた方が無難です。
サンルームの屋根部材に注意 ポリカーボネートの上に屋根から落屑すると割れます。
折半カーポートの上の屋根雪はこまめに雪降し。
土地購入時に、小さすぎる土地や旗竿敷地は近隣トラブルを呼びやすい。
雪降しや除雪の際には近隣トラブルがつきものです。
降ろした雪が道路を塞いでしまったり、お隣の塀を壊してしまったり…
春になれば雪は消えます。隣近所協力しあってトラブル回避したいものです。
普段からご近所関係を大切にしましょう。