こんにちは、福井県大野市のあまや製材です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、昭和60年に建てられたお住まいの床改修事例をご紹介します。
1.なぜ「ギシギシ」鳴るのか?昭和60年当時の工法と経年変化
昭和60年(1985年)頃の木造住宅の床は、現代とは少し異なる工法で作られていました。
当時は、現代の住宅では当たり前となっている「構造用合板」を全体に敷き詰める施工がまだ一般的ではありませんでした。

主流だったのは、「縁垂木(えんだるき)」と呼ばれる角材の上に、仕上げ用の床材(フローリング)を直接釘打ちする工法です。当時は十分な強度を持っていましたが、40年という歳月の中で、痩せて強度が低下します。
縁垂木に支えられていない場所を踏むと、板がわずかに「たわみ」、隣り合う板や釘と擦れ合って「ギシギシ」という音が発生していたのです。
原因は構造の腐朽ではなく、あくまで「工法による経年変化」。それならばすべてを壊す必要はありません。
床下の状況を確認したところ、湿気は無くカラッと乾燥しており、シロアリの被害も見当たらず土台の状態は非常に良好です。


2.適材適所の補修:既存の床を「下地」として活かす
今回のリフォームで私たちがご提案したのは、既存の床を撤去せず、それを下地として活用する「重ね貼り工法」です。
「古い床の上に貼って大丈夫?」と思われるかもしれませんが、実はこれが非常に理にかなっています。
古い床であっても木材としての厚みがあり、しっかりと乾燥して家に馴染んでいます。十分に活用できる強度が残っていると判断しました。
傷みが激しい箇所だけをピンポイントで切り取り、新しい合板に差し替えて補修します。その上で、前面に新しいフロア床材を重ねて貼っていきます。これにより、かつて「点」で支えていた床が、合板による「面」で支えられるようになります。これで、垂木のない場所を踏んでもたわむことはありません。コストや廃材を抑え、工期を短くしつつ、新築のような床の剛性を実現しました。

3.貼り出し前の計算で、美しさが決まる
これから床を貼っていく現場で、大工さんはまず「基準」を打ち立てます。そして頭の中で部屋全体の板の配置図を計算しているのです。
例えば、何も考えずに端から貼り始めてしまうと、最後の板が極端に細くなってしまったり、あるいは途中の柱にぶつかり、板を複雑な形にくり抜かなければいけなくなったり。
だからこそ、貼り始める前の「準備」が大切なのです。


職人の腕が光る「歳月の知恵」
両端の板の幅が同じになるように逆算し、あえて1枚目をカットして幅を調整します。途中の柱は床板のラインと揃うように計算されています。大工さんの隅々まで行き届いた繊細な手仕事が、10年後も美しい床を約束するのです。


4.風呂場のこだわり:仕上げの素材で「下地」を使い分ける
一方、お風呂場(脱衣所)の床は、すべて撤去し新しい合板を貼り直しました。
こちらはクッションフロア仕上げ。柔らかい素材だからこそ、下地のわずかな凹凸が表面に響いてしまいます。なので、表面が極めて滑らかなベニヤ板を採用し、さらに板の繋ぎ目や釘の跡を消すために、職人の手で丁寧にパテを塗り込みます。
「ツルツルになるまで、徹底的にフラットにする」この見えない場所での職人のこだわりが、数年経っても凹凸の出ない、美しい床を生み出すのです。


5.【12mm】の変化を「価値」に変える、段差の工夫
今回のリフォームでは、元の床の上に新しい床板を重ねて貼ったため、玄関ホールの高さが12mm上がりました。この生まれた段差を、あまや製材ではこのように解決しました。
・上がり框(かまち)との段差
元の上がり框と床材の間に段差ができ、そのままでは床の断面が見えてしまいます。
ここには「リフォーム框」を設置しました。元の框の上から被せるように取り付けることで、高さをピッタリ揃えました。


・廊下との段差
床が12mm上がったことで、お風呂場へ続く廊下との間にわずかな段差が生じます。
ここには専用の見切りを設置。なだらかな傾斜でつまづき防止などの安全を確保しました。


・和室との段差
実は、こんなメリットもありました。玄関ホールと和室の間にあった50mmの段差が、床が高くなったことで38mmに縮小されたのです。わずかに思いますが、足の上げやすさは劇的に変わります。


誠実な「事前説明」の重み
私たちはあえて、施工前に「デメリット」についても正直にお伝えしました。
「室内の段差は少なくなりますが、その分、玄関ホールへ上がる1段が今までより少し高くなりますが、よろしいですか?」リフォームには必ず、変化が伴います。良いことだけでなく、こうした細かな変化を事前にお伝えし、ご納得いただいてから釘を打つ。それが地域密着で信頼を積み重ねてきた私たちのルールです。
6.未来への備え:「床下点検口」の新設
今回の工事では、玄関ホールに新しく「床下点検口」を新設しました。
これまでは床下を覗くには床材を剥がす必要がありましたが、今回点検口を作たことで、いつでもお家の健康状態(水漏れやシロアリ等)をチェック出来るようになりました。
「今は大丈夫。でも10年後も大丈夫か確認出来るようにしておく。」この一箇所の点検口が、未来のメンテナンス費用を抑え、お客様の不安を解消する大きな安心材料になります。

まとめ:既存の良さを活かし、賢く直すリフォームのすすめ
今回のリフォームで大切にしたことは、「壊して作り直すことだけが正解ではない」ということです。
昭和60年からこの家を支えてきた床材を再利用し、その上に新しいフロア材を重ねる。
この「新旧のコラボレーション」によって、より強く、安心して過ごせる住まいへと生まれ変わります。
ギシギシ音も解消され、おだやかな日常が戻ってきました。


あまや製材は、あなたの家の「現在の健康状態」を正しく見極め、無理のない、しかし妥協のないリフォームプランをご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。